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シャイニーストッキング

第7章 絡まるストッキング6 和哉と美冴2

 46 機先を逸らす

 かえって、高嶺の花アピールが仇になってしまったのか…

 だが、どう見ても、どう考えても、わたしと和哉の二人は今となっては全く釣り合わない、アンバランスな二人であると間違いなくいえるのだ。
 誰がどう見たって不釣り合いで、アンバランスで、不自然な二人なのである。

 大人の女の魅力を最大限にアピールしたわたし…

 どう見たって大学生然とした和哉…

 そしてひと目ではっきりと判る年齢差…

 二人の格差は歴然であった。

 だからどう考えても、わたしの高嶺の花アピール作戦は間違いではない筈なのだ。
 わたしは鏡に写る自分の姿を見てそう想い、確信をする。

 よしっ…

 わたしは化粧直しをし始めた。
 そして、もっと更に美しく、妖艶さをアピールする事にしたのだ。

 今更ながら化粧は落とせないし、この装いも脱ぐわけにはいかない。

 だったら、更に、もっとより美しく、妖艶になるしか方法はない…
 と、そう思ったのである。

 より美しく…

 より妖艶に…

 そして和哉にもっと二人の差を、格差を判らせて、更に高嶺の花アピールをして落胆させ、諦めさせる。

 これしか方法はない…

 それにわたしさえしっかりしていれば、今夜、これから和哉がいくらオスの目になろうとも、男の欲情の目になろうとも、関係がない筈なのである。

 わたしの考え過ぎ、先走り過ぎなのだ…
 そう想い、わたしは鏡を見つめ、化粧直しをしたのであった。

 あっ、そうだ、和哉の欲情の想いの機先を逸らす意味でも、彼の今いるという彼女の話題でも振ってみよう…

 そうすれば、さすがに和哉の欲情の火も少しは鎮火するのではないのか…
 そして化粧直しをし、わたしは席へと戻って行く。


「ふうぅ、やっぱり少し調子に乗って飲み過ぎたみたい」
 わたしは席に戻るなりそう話しを切り出したのだ。
 未だに和哉の目には欲情のオスの目の光りが輝いてはいたのだが、席に戻るなりのこの話しの切り出しに、上手く機先を逸らす事が出来たようであった。

「そ、そうなんですか…」
 和哉はそんな感じでわたしのこの話しの切り出しに応える。

 そして、その目の輝きが一瞬曇って見えたのだ…




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