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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 43 特別な再会


『大人になったら…
 お酒が飲めるようになったら来たいね…』
 あの時の言葉が脳裏に蘇る。

 まさか、本当にこうして二人でお酒を飲むなんて…
 心からしみじみと思っていた、そして時間の流れを感傷的に感じていた。


 私はいつも帰省すると、宮本まさやんのお店に行き、たまに同級生や友人、知人を呼んだり、偶然出会うという事はあったのだが、まさか、きよっぺという自分の中の特別な存在の元彼女とこうして偶然、そして突然に再会できるとは…
 夢にも思っていなかった。

 あの頃は地元では名前が売れていたからそれなりにモテていた、だから昔の元カノ、遊ぶ、遊んだ女等はそこそこいた。
 その中でのこの『本田きよみ』は自分の中での特別な存在の一人であり、内心、密かに再会を切望していたのであった、そんな彼女と突然再会したのだ。

 やはり、運命の再会なのか…
 と、さっきのまさやんの言葉が脳裏に過ってきていた。

 そうなんかな、まさかな…

「コッペは帰省なの?」
 すると、彼女は訊いてきた。

「うん、親父の10周忌なんだ…」
「あ、そうなんだ…」

「いつから…」
 こっちに戻ったのか?…
 と、今度はこっちが訊いてみた。

「うんとねぇ、三年前かなぁ」
「そうなんだ…」
 離婚して戻ってきた…
 と、まさやんからは訊いていたが、敢えて触れなかった。

「離婚したのよ…」
 だが、彼女は自分からそう言ってきたのだ。

「うんとねぇ、三年くらい前かなぁ、それで戻ってきたの…」
 少しだけ遠い目をする。

「オレも…」
 私もバツイチだ…と、意味を込めて含めると、通じた様で
「あら、コッペもそうなのぉ」
 と、すかさず応えてきた。

「うん…やはり、三年前かな…」
「やだぁ、同じじゃない…」
 と、明るく言ってきたのだ。

 ああ、そうだ…

 きよっぺは…

 明るくて…

 聡明で…

 可愛かった…

 再び心の奥から青春の甘酸っぱい匂いが湧き起こってきて、私の心を騒つかせてくる。

 あの頃は…

 あの頃は、本当に…

 大好きだったのだ…







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