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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 49 埋まる時間

「ここ…」
 1011号室…と、だけの表記された表札が掛かっている部屋のドアの鍵を彼女が開ける。
 そしてドアを開けた途端に、私達二人はもつれ合う様に玄関框に倒れ込み、抱き合いながら再び激しく唇を交わし、吸い合っていく。

「あ……」
「………」 

 私は、心の熱く、激しい衝動が押さえ切れないでいた。
 そして彼女もそうなのだろう、全く抵抗は無く、カラダの全てを預け、小さく震え、無言で喘ぎ、唇を、舌を吸ってくる。
 
 二人の中の、最後のあの時からの、約22年間という空白の時間は、このキスにより一気に埋まったのだと思う。 
 そしてそれからずっと心の奥の片隅にしまい込んでいた、心残りの想いを、今、遂げるのだ…
 と、心が激しく揺れ、渇望していた。

「あ、ふ…、こ、コッペ…」
 きつく抱き締め、少し唇を緩めたら、彼女が喘ぎを漏らしてくる。
 だが私はそのまま、彼女のワンピースの中に手を差し入れていく。
 そして再び唇を吸う。

 一瞬彼女は、股間に差し入れ、触れてきた私の右手にかるく抗らう様な腰の動きをしたのだが、パンストの股間に手を触れるとその動きは止まり、身を任せるかの様に脱力する。
 既に股間は、彼女のショーツはぐっしょりと濡れていた。

 その時…
『なんか、すごく濡れちゃうの、恥ずかしいわ…』
 昔、あの頃、彼女がよく恥ずかしそうに言っていた言葉が蘇り、脳裏を巡る。

 あの頃は、そんな言葉の意味さえもよく理解できなかった程、子供、ガキであった。

 だけど、今ならよく分かる、分かるよ、きよっぺ…

 そう想いながら、股間のマチをパンストの上からグッと押し込み、唇を離し、彼女の目を、大きな濡れた欲情している瞳を見つめる。

「こ、コッペ…、や、恥ずかしい…」

「そんなことないさ…」
 
 ようやく…

 ようやく、返せた…

「きよっぺ…、好きだ…」

 あの頃は…

『好きだ…』こんな言葉も照れくさくて言えなかった…

「ああ…」
 彼女は嬉しそうに喘ぐ。

「ああ、わたしも…好き、大好き…」
 

 今は…

 今は、こうして、何でも言える…





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