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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 63 呪縛 ①

 時刻は午前5時…

 真夏の太陽が既に昇っており、寝室のカーテンの隙間から陽の光りが差し込んでいる。

 ああ、すっかり寝込んでしまったなぁ…
 私は隣で寝ているきよっぺの顔を眺めながらそう思っていた。

 きよっぺの寝顔は初めて見るな…

 本当に足掛け約四年間の付き合ったのだが、当時はまだ子供であったし、お互いに部活動が忙しく、二人で泊まるという体験は無かったから寝顔は見た事が無い。

 きよっぺは成績もかなり優秀であったが、運動神経も抜群な文武両道を絵に書いたような女の子であった。
 中学時代はバスケット部のキャプテンを務め、生徒会副会長もしていた。
 そして県内でも優秀な女子高に進学し、そこで縁があってなんとフェンシングを始めたのである。
 だが、そのフェンシングで瞬く間に頭角を現し、関東ナンバーワン、全国でも上位の選手になったのだ。

『競技人口が少ないからだよ…』
 と、よくそう謙遜していたのだが、優秀が故に遠征や練習に多忙となり、そして私自身も野球部の練習、試合等で忙しく、結果、私が中学二年の冬、彼女が高校一年の時に自然消滅的に別れたのであった。

 当時は今のような携帯電話等は無く、家電話か、手紙のやり取り以外には連絡方法が無かった。
 ましてや中学生と高校生のカップルであったから学校内で会う等は無い訳であり、普通に自然消滅的に別れてしまったのだ。
 ただ私自身も、当時はスポーツ万能でかなりモテていたから、すぐに同級生の彼女が出来たのである。
 そして、既にきよっぺのおかげで禁断の手や口唇愛撫の快感を知ってしまっていたから、その欲望の捌け口はその同級生の彼女に変わったのだが、やはり、性交は未経験の童貞であったのだ。
 
『赤ちゃんが出来ちゃうから…』
 という、きよっぺの言葉の呪縛に当時は相手が変わっても縛られていたのであるし、もちろんセックス、性交というモノには興味はあったのだが、手や口唇愛撫によるペッティングだけでも十分満足していたのである。

 ちなみに私の童貞喪失は高校一年の16歳の冬であり、キス、ペッティングの経験が中学一年の13歳の夏休みという事を考えると、四年間のタイムラグがあるのだ。

 それは、きよっぺの言葉の呪縛に縛られていたせいといえた…




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