
シャイニーストッキング
第8章 絡まるストッキング7 本部長大原浩一
95 きよっぺ ①
「ありがとうございます」
会計を済ませると
『あっ、これ…』
ノンは囁きながら自分の名刺を渡してくる。
「あ、オレは仕事じゃないから今は名刺持ってなくて…」
そう慌てて言うと…
『いいわよ、今度で…』
と、言ってきた。
「あ、うん、そう、今度な…」
そう返し、私は駅の東口への連絡階段へと歩いて行く。
間もなく午後6時…
きよっぺとの約束の時間は午後6時半、まだ30分あるのだが時間潰しが出来そうにもなかった。
いいや、時間前だけど訪ねよう…
きよっぺはもう用意している…
なんとなくそんな気がしたのである。
そして彼女のマンションのエントランスに入った。
「あっ、こっぺ…」
不意にきよっぺの声が聞こえたのだ。
「あ…」
彼女はエントランスの共有スペースのソファーに座っていたのである。
「やっぱり…」
「え、やっぱりって?」
「いえなんとなくこっぺは時間前に来るだろうなってさぁ、そう思ってさっき降りてきたの」
と、にこやかな笑顔で話してきたのである。
その笑顔は明るく、まるで向日葵の様な笑顔であった。
少し早く来て良かった…
そんな彼女の笑顔を見てそう思う。
「あら、髪切ってきたのね」
「あ、うん、今さっきね」
そう明るく言うきよっぺは、髪をポニーテールに縛り、夏らしい淡い藍色の木綿生地のノースリーブのワンピースに白の薄いカーディガンを羽織るラフな格好であった。
いやこんな田舎街なのだ、気取る必要は無いのである…
「なんか、髪切ったから余計に若く見えるわねぇ、なんかいやだわぁ」
と、微笑みながらそう呟いてくる。
そんな私は青いダンガリーシャツにベージュのチノパンと、母親のお見舞いの延長のままの、普通にラフな、いつもの気取らない普段着であった。
「でも実はね…
待ち遠しくて、待っていられなかったの」
きよっぺはそう言って、私の腕に絡んできたのである。
私はそんな彼女の所作に心が震えてしまう。
そして、既に、さっきまでのゆかりとの電話で湧き出していた罪悪感や、律子との不惑な想い、そしてついさっきのやはり懐かしい元カノであるノンとの懐古の想いなど、すっかりどこかに吹き飛んでしまったのである。
それくらいに、この目の前にいるきよっぺに魅了されてしまっていたのだ…
「ありがとうございます」
会計を済ませると
『あっ、これ…』
ノンは囁きながら自分の名刺を渡してくる。
「あ、オレは仕事じゃないから今は名刺持ってなくて…」
そう慌てて言うと…
『いいわよ、今度で…』
と、言ってきた。
「あ、うん、そう、今度な…」
そう返し、私は駅の東口への連絡階段へと歩いて行く。
間もなく午後6時…
きよっぺとの約束の時間は午後6時半、まだ30分あるのだが時間潰しが出来そうにもなかった。
いいや、時間前だけど訪ねよう…
きよっぺはもう用意している…
なんとなくそんな気がしたのである。
そして彼女のマンションのエントランスに入った。
「あっ、こっぺ…」
不意にきよっぺの声が聞こえたのだ。
「あ…」
彼女はエントランスの共有スペースのソファーに座っていたのである。
「やっぱり…」
「え、やっぱりって?」
「いえなんとなくこっぺは時間前に来るだろうなってさぁ、そう思ってさっき降りてきたの」
と、にこやかな笑顔で話してきたのである。
その笑顔は明るく、まるで向日葵の様な笑顔であった。
少し早く来て良かった…
そんな彼女の笑顔を見てそう思う。
「あら、髪切ってきたのね」
「あ、うん、今さっきね」
そう明るく言うきよっぺは、髪をポニーテールに縛り、夏らしい淡い藍色の木綿生地のノースリーブのワンピースに白の薄いカーディガンを羽織るラフな格好であった。
いやこんな田舎街なのだ、気取る必要は無いのである…
「なんか、髪切ったから余計に若く見えるわねぇ、なんかいやだわぁ」
と、微笑みながらそう呟いてくる。
そんな私は青いダンガリーシャツにベージュのチノパンと、母親のお見舞いの延長のままの、普通にラフな、いつもの気取らない普段着であった。
「でも実はね…
待ち遠しくて、待っていられなかったの」
きよっぺはそう言って、私の腕に絡んできたのである。
私はそんな彼女の所作に心が震えてしまう。
そして、既に、さっきまでのゆかりとの電話で湧き出していた罪悪感や、律子との不惑な想い、そしてついさっきのやはり懐かしい元カノであるノンとの懐古の想いなど、すっかりどこかに吹き飛んでしまったのである。
それくらいに、この目の前にいるきよっぺに魅了されてしまっていたのだ…
