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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 97 きよっぺ ③

「あら、こんばんは」
 マンションに戻りエレベーターに乗ろうとしたら、どうやらきよっぺの知り合いの住人らしき女性がエレベーター待ちをしていて、お互いに挨拶を交わし合う。
 私はエレベーターに乗ったらすかさず抱き締めてキスをしようと思っていたので、内心、ガッカリしてしまう。
 直ぐにエレベーターが到着し、三人で乗る。
 そしてその住人がエレベータードアの前に立ち、その後ろにきよっぺ、次いで奥に私の順に乗った。

 するときよっぺは右手を後ろに回してきて、私の手を探る仕草をしてきたのである、そして私はその手をすかさず握り、互いの指先を絡め合っていく。

 これは高校時代の駅のエスカレーターに前後で並び、ほんの僅かな約20秒程の朝の触れ合いの儀式の再現であったのだ…
 歳甲斐もなく、胸が高鳴ってしまう。

 そしてエレベーターが到着し、きよっぺの部屋のドアを開けた瞬間に、私は彼女を抱き寄せ、抱き締め、キスをする。

「あ…ん…」
 きよっぺはこのキスに脱力をしてしまう。

 だが…

 さすがに二日目の私は少しだけ冷静であったし、既に、この部屋の間取りが脳裏にあった。
 キスを交わし、舌を貪りながら、彼女を抱き押さえ、引きずる様に寝室へと互いにもつれ合い、千鳥足をしながら、ベッドへと倒れ込んだのである。

「あ…こ、こっぺ…」

「き、きよっぺ…」

 互いに名前を囁きながら、熱いキスを交わしていく…

 今夜はじっくりと、きよっぺを愛し、堪能するんだ。

 本当の…

 青春の心残りを取り返し、完遂するのは…

 今夜、今…

 これからなのである…




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