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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 98 きよっぺ ④

「よかったわ、ベッドに連れてきてくれて…」
 きよっぺが高揚気味の顔でそう呟いてきた。

 うん…
 私は目でそう返事をする。
 そして再び口吻をしていく。

「あ…」
 舌先を吸いながらゆっくりと薄いカーディガンを脱がせ、ノースリーブの肩を露わにし、撫でていく。
 私は脚フェチ、ストッキングフェチであるのだがこの女性の肩や、肩周り、うなじ周りにも心が、男心が魅かれてしまうのだ。
 特にこの肩周りの柔らかなラインのカーブに、そしてスベスベの感触が魅了されてしまう。
 ゆっくりと肩周りを撫で回しながら、胸元のボタンに指を掛け一つ一つと唇を、舌先を吸いながら外していく。
 唇を吸い合う口内には、甘い唾液が広がってきて心を酔わせてくる。
 そしてさっきのエレベーター内での、あの懐かしい朝の儀式の再現により、心の中にあの高校時代を蘇えらせ、甘酸っぱい想いが広がってきていた。

 高校一年の夏休み、確か二度ほどきよっぺに迫った記憶があった…

 周りの友達の何人かが、童貞を捨てた、ヤった、経験したと自慢され、悔しくて迫ったのであった。
 だが、いずれの答えも
『赤ちゃんが出来ちゃうから…』
 で、あったのだ。
 ふと、そんな当時の想いまでもが蘇ってきていた。

 あの時は、本当にヤりたかったなぁ…

 でも、今、20年、いや、正確には27年間という時間を経て、こうして私の腕の中で喘いでいるのである。

 最後のワンピースのボタンを外しながら、そんな感慨深い想いに浸ってしまう…

「あ…ん…」
 きよっぺの喘ぎが震えてくる。

 そして私は唇を離し、顔を上げ、ゆっくりとワンピースの胸元をはだけていく。
 白い肩周りが露わになった。

 ああ、綺麗だ…

 その白い肩周りの肌、柔らかなカーブ…

 そして甘いフレグランスの香りに酔い痴れていく…

「あ……」

 あっ、これは…

 この微かに漂ってくるこの甘い香りは…

 律子の…

「シャネル…」
 思わず言葉に出てしまった。

「うん、よく分かったわね…」
 きよっぺがそう呟いてきた。

「…………」

「そうか、彼女と…同じなのね」
 そう囁いてくる。

 律子…

 あまりにも微か過ぎて、直ぐには気付かなかったのだ…

 ここにも、きよっぺと律子、二人の共通点があったのである。

 


 

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