テキストサイズ

シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 101 きよっぺ ⑦

 そして、そんなきよっぺの優しさに甘えたい想いが昂ぶってきていた…

 甘えたい…

 いや、甘えてしまいたい…

 この歳になると女性に甘えるという行為、想いは難しく、そして恥ずかしくて、照れ臭く、なかなか言葉や態度には出せない。
 現実にもゆかり、美冴、律子という、現時点での私を取り巻く彼女達、ゆかり
や美冴は完全な私の部下として存在し、初めから上下関係が確立されてしまっていたし、律子も、山崎専務を通して銀座のクラブのお客とホステスという関係で始まった訳であったから、やはり最初から上下関係が確立されていたのだ。

 そして、彼女達三人のいずれも私に対しては、上司であり、頼る、頼れる、会社内での先輩、先駆者、クラブの常連の上客…等々、最初からそんな関係で始まっている存在であったから、頼る、頼りにするのは普通であり、当たり前となっていた。

 だから私自身もそれが、それを分かっているから彼女達三人の前では余計に、そして特に弱い部分はなるべく見せないようにしようとしていたし、意識をしているのである。

 だが…

 時として…

 いくら齢40を迎える中年男であっても、たまにはそんな女性に甘えたい、弱音を見せたい、本音の全てを吐き出したい…
 等々の願望はあるのだ。

 それが、それは、世間一般では奥さん、妻の役目なのだろうが、いかんせん私はバツイチの中年独身男なのである、甘えられる、甘えたい女性が居ないのである。

 本当に、最近、確実に愛していると実感できたゆかりには、恋人という立場と、上司、先輩という立場があり、とても現時点での関係ではまだまだゆかりに対して弱み、弱音、甘え等々は見せられないし、見せたくもない…

 美冴とは紆余曲折な不惑な関係ではあるのだが、とても彼女にさらけ出す事は出来ないし、この先も考えられない…

 律子は…

 そう、可能性としては律子ならば有るかもしれない気がする…

 それは明らかになったこのきよっぺとの少しの共通点が私の心を刺激してくるのだが、実は、彼女は、この三人の中で一番若いのである…

 そして私自身が彼女の若さを意識してしまっているのだ…

 だから果たして律子に甘えたいのか、と、いったならば…
 現時点では無理であろう。

 と、すれば、やはり、このきよっぺなのだ…





ストーリーメニュー

TOPTOPへ