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シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 100 きよっぺ ⑥

「だからぁ、あれからはなるべくストッキングを穿いてあげようって思っていたんだからぁ」

 確かにそうかもしれない…
 いつもきよっぺはストッキングを穿いていた…
 そんなイメージがある。

 ただあの頃の女性は殆どストッキングを穿いていたから、そんなことは意識しなかった…

 そしてあの頃はまだ、ストッキングフェチ、という言葉さえ知らなかった…

 やはりきよっぺは私の原点…

 セックスの憧憬の原点なんだ…

「あ、ごめん、今日は穿いてないわぁ」
 そう言う彼女の大きな瞳は、まるで悪戯っ子の様な光りを見せてくる。

「あ、うん…」
 私はドキドキしてしまい、上手く言葉を返せない。

 そして心の想いもすっかりあの27年前の、13歳の、中1の時の想いに還ってしまっていたのである。

 ヤバい、すっかりきよっぺのペースになってしまっている…
 なんとか流れを変えたい…
 そう逡巡しながらも、動揺したままブラジャーのホックに指先を掛けたままでいたのだ。
 きよっぺの悪戯っ子の様な大きな瞳が私を見つめる。
 そして未だにホックが外せない…

「あっ、そうだ…」
 咄嗟に閃いた。

「そうシャワー、シャワーを浴びないと、いや、浴びたい」
「えっ…」

「そう、昼間お袋のお見舞いに行って美容院に行ってしまったから、シャワー浴びてなくて、汗も掻いちゃっているしさ…」
 と、私は必死に言う。

 この流れを少しでも変えたかったし、リセットし、自分主導にしたかったのである…

「あ、うん…
 いいよ、どうぞ…」
 きよっぺはそう返事をしてくれた。

 多分、私のこんな想いが通じたのであろう…
 
 それがきよっぺだから…

 昔から、そうであるから…

 いつも、優しく私を見てくれていたから…

 昔は…

 あの頃は…

 そんなきよっぺに、やたらイライラと苛ついた時期が多々あった。

 だけど彼女は、そんな私を、私の想いを全て受け取り、受け入れてくれて…

 『それが可愛かった…』
 と、まで言ってくれたのである。

「じゃあ、シャワー入ってきなよ」
 そう優しく言ってくれる。

 そんな彼女の優しさに…

 優しい言葉に…

 優しい目に…

 心が震えてしまう。

 そして、そんな優しさに甘えたい想いが昂ぶってきていた…

 甘えたい…



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