テキストサイズ

シャイニーストッキング

第8章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一

 151 優柔不断

 そのきよっぺの濡れた瞳からは…
 たくさんの様々な想いや愛、愛情を感じた、いや、伝わってきたのである…

「ああ、うん…」
 そしてそんな彼女の瞳を見返しながら、そう肯定とも否定ともどちらとも取れる様な曖昧な返事をしてしまう。

 だが…

 そう返事した時に、彼女の瞳から新たに
 依存…
 そんな想いが映った様に見て取れたのである。
 また再び、いや、みたび、心がザワザワと騒めいてきた。

 そしてきよっぺは私の胸にしがみ付く様にしな垂れてきて、唇を求めて顔を寄せてきたのだ。

 ああ、きよっぺ…

 私はその唇を拒否する事は出来なかった、いや、逆に彼女の唇に吸い寄せられてしまったのである。

 だが、このキスは…

 そんなたくさんの不惑の想いの彼女の愛情の全てを受け入れる…
 と、いう証しの意味でもあるキスであるのだ。
 このキスを、唇を、受けるという事は、そんな彼女からの愛を、愛情を受け入れる証しとなるのである。

 その彼女の愛情の重さは、おそらく想像を超えるかもしれない…


 だが…

 だが、拒否は、唇を避ける事はとても出来なかった…

 いや、私は自らきよっぺを抱き寄せ、そして抱き締めて唇を受け入れたのである。

「あ……」

「………」

 彼女の心に吸い寄せられてしまったのだ…
 舌先が、そして甘い彼女の唾液が、交じり、絡まっていく。
 
 そしてその瞬間、ゆかりの顔が脳裏に浮かび、また再び、罪悪感という隠していた不惑の想いが心に現れ、揺るがし、また一つ、新たに積み重なったのである。

 それに私達はお互いに禁断の愛を再認識してしまったのだ…
 これが、これから先、私の心をどう揺るがしていくのか。

 どっちにせよあと3、4日にはこの実家のある栃木県を離れ、東京都内に戻るのだ。
 それに私はお盆休み明けからはかなり多忙、いや激務になる事は間違いないのである。
 だから何がどうなろうと、彼女、きよっぺの動き次第になる事は間違いはないのだ。
 

 ただその時に、私がどう反応するのか…

 どう動くのか…

 いや、果たして我慢が出来るのか…

 結局はきよっぺ次第ではなくて、私自身次第なのだ…

 この先彼女が律子に次いでの第2のアキレス腱になるか、ならないか…
 この優柔不断な私自身次第という事でなのである。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ