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綺麗なあの人に抱かれたい!

第7章 恋って何だろう?

「……あの」
「?」
「卯月さんは、その」

 私のどこが好きなんですか。
 と、直接聞くのは勇気がいる。
 恥ずかしいし、この人が簡単に答えてくれるとは思えないし、卯月さんの性格を考えたら、こんな女々しい台詞を吐く女なんて嫌いなんじゃないかな。

 知りたいけど、卯月さんに嫌われるようなことはしたくな………、

「……ああもう」

 グダグダ考えてるのが馬鹿らしくなってきた。
 タケくんの言う通りだ。1日中ずっと卯月さんのことばかり考えてる時点で、きっともう、好きなんだ。

 一緒にいる時間が当たり前になって、見えなくなっていた気持ち。
 今もまだ、ちゃんと見えていない。
 この人が好きだという実感が、どうしても自分の中に足りない。

 どうにかして、彼を好きな自分をちゃんと自覚したい。
 悶々としているだけじゃ、きっと何も見えてこない。

「奈々?」
「え?」
「いや、なんか話しかけてただろ」

 途中で言葉を切ってしまった私に、彼は訝しげな視線を向けてくる。
 卯月さんは私のどこが好きなのか、それを聞けたなら、私は彼を好きな自分を自覚できるんだろうか。

「卯月さん、あの、私」
「ん?」
「私、卯月さんのこと、好きだと思います」

 卯月さんの瞳がぱち、と瞬いた。

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