テキストサイズ

綺麗なあの人に抱かれたい!

第2章 抱いてください!

 卯月さんだって、ブスだと思う女は抱きたくないだろう。それ以前に彼は、「好きな女じゃないと抱かない」と言っている。つまり痩せてるだの何だの以前に、はなから私は対象外だったという事だ。

 結構、ショックでかい。
 彼の恋人になる気はないし、もう脈はないのかな。
 たった一度だけでいいんだけどな。
 どうしたら抱いてくれるんだろう。

 眉を寄せながら考え込む私に、からかうような声が掛かる。

「俺に抱かれたかったら、中身も含めて女磨いてこいよ」

 ちょっと期待感を持たせる言い方だった。
 とはいえ、落ち込む心は浮上しない。
 女、磨いてるんだけどな。
 中身か。中身がダメなのか。

「うん……わかった。頑張る」

 それでも、彼好みの女になれるように努力してみよう。それで彼の気が変わったら、もしかしたら、いつか抱いてくれるかも。

 淡い期待を抱きつつ、残りのナポリタンに手をつける。素直に頷いた私を見て、卯月さんは小さく笑みを漏らした。

「朝霧って」
「?」
「根は素直でいいヤツだな」
「……褒められてるの?」
「褒めてるよ。思考はちょっとイッてるけど」
「うん……イキたい」
「そのイクじゃねぇ」

 アホか、と軽く突っ込まれた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ