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綺麗なあの人に抱かれたい!

第4章 デートですか?

 美味しいご飯を頂くために、そして料理を教えてもらう為に、卯月さんの部屋を出入りするようになってから、もうすぐ半年が経つ。



「おかえり」
「……おう」
「なんですかその返事」

 ソファーに寝そべりながら、仕事帰りの卯月さんを出迎える。上目遣いで見上げたら頭をくしゃくしゃされた。甘やかされてる気分になって嬉しくなる。

 2ヶ月前、「勝手に入ってもいいから」と言われて渡されたのは部屋の合鍵。
 差し出された時はさすがに困惑した。私は卯月さんの彼女じゃないのに、こんな大事なものを貰ってもいいのかな? って疑問に思ったから。

 それでも、彼のお部屋にお邪魔できる権利を貰えたことが純粋に嬉しくて。受け取って以来、こうして卯月さんの部屋で彼の帰りを待つ日が増えた。

 一緒に夕飯を作って、食べて、その後は私が帰宅する。その際も、卯月さんは毎度マンションの近くまで見送ってくれる。
 相変わらずぶっきらぼうで、私に対する態度も以前と変わっていないけど、前よりも随分と優しくなった。たくさん笑ってくれるようになった。
 そんな些細な変化がすごく嬉しい。少しずつ、距離が近づいている気がするから。

 けれど、卯月さんが手を出してくる気配はない。
 半年が経っても、私はまだ卯月さんに抱かれていないままだった。

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