綺麗なあの人に抱かれたい!
第6章 なんか、寂しい。
薄暗い闇から解放されつつある空に、ぽっかりと浮かぶ白い三日月。まだ日が明けきらない早朝に、私はたったひとりで歩いている。
腕に抱えている少しばかりの荷物は、卯月さんの部屋に置かせて貰っていた服ばかり。それらを持ったまま此処まで走ってきたから、足取りは重く、息はまだ乱れていた。
男と寝た翌朝、頬を撫でる風を受けながらマンションへと帰るこの時間が私は好きだった。早朝の通りは人の気配も少なくて、開放的な気分に満たされていた。
それが、いつもの朝だった。
今はとても、そんな気分に浸ることができない。頭上に浮かぶ月を見上げる余裕もなかった。
放心状態のまま、マンションへと足を踏み入れる。バッグから取り出した鍵で解錠して、部屋の中に入った。
施錠をすれば、カチ、と無機質な音が響く。その金属音に、すぐさま軽やかな足音が駆けてくる。くまちゃんだ。
おかえり! とでも言いたそうに、可愛い尻尾を振りながら熱烈な出迎えをしてくれる。その姿を見た途端、私の体から力が抜けた。
へなへなと床に崩れ落ちる。
腕に抱えていた荷物も落ちて、玄関に散乱した。
腕に抱えている少しばかりの荷物は、卯月さんの部屋に置かせて貰っていた服ばかり。それらを持ったまま此処まで走ってきたから、足取りは重く、息はまだ乱れていた。
男と寝た翌朝、頬を撫でる風を受けながらマンションへと帰るこの時間が私は好きだった。早朝の通りは人の気配も少なくて、開放的な気分に満たされていた。
それが、いつもの朝だった。
今はとても、そんな気分に浸ることができない。頭上に浮かぶ月を見上げる余裕もなかった。
放心状態のまま、マンションへと足を踏み入れる。バッグから取り出した鍵で解錠して、部屋の中に入った。
施錠をすれば、カチ、と無機質な音が響く。その金属音に、すぐさま軽やかな足音が駆けてくる。くまちゃんだ。
おかえり! とでも言いたそうに、可愛い尻尾を振りながら熱烈な出迎えをしてくれる。その姿を見た途端、私の体から力が抜けた。
へなへなと床に崩れ落ちる。
腕に抱えていた荷物も落ちて、玄関に散乱した。