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綺麗なあの人に抱かれたい!

第6章 なんか、寂しい。

 今ここで頷けば、卯月さんと一緒にいられる。
 恋愛感情を抱いているのかもわからないのに、一緒にいたいからという理由だけでお付き合いしてもいいのかな、と思う気持ちもある。

 私はまだ学生で、卯月さんは25歳。
 結婚を視野にいれて考えなければならないような適齢期でもないし、もしこのお付き合いが失敗しても、若い私達には、まだ次がある。

 彼の事を軽く考えてる訳じゃないけれど、数ある選択肢の中で、彼とお付き合いをする事を視野にいれてもいいんじゃないかと、今はそう思えてきた。
 見方を変えたり視野を広げれば、今まで見えていなかったものも、いずれ形となって見えてくるかもしれない。

「……よろしくお願いします」

 ぺこ、と浅く頭を下げる。
 彼の交際の申し込みに私は頷いた。

「……こちらこそ」

 彼の低音が耳に届いた。
 妙に照れくさくて、顔が上げられない。
 ずっと俯いていると、テーブル越しに伸びてきた彼の指先が私の髪を掬った。

 ビックリして肩が跳ねる。
 卯月さんは苦笑しながら、今度は耳朶に触れてくる。
 なんで突然触ってきたのかわからない私は、ただ困惑するしかない。

「……耳まで真っ赤」

 どこか艶めいた響きに胸が高鳴る。

「そんなに意識されると苛めたくなる」
「っえ、」
「もうさ、俺の事が好きってことでいいんじゃねえの?」
「い、いくない」

 必死に声を絞り出すだけで精一杯だった。






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