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甘い蜜は今日もどこかで

第1章 【本当は嫌なのに】






びっくりした、キミを飼いたいって聞こえちゃった。
にしてもちょっと面倒な人に気に入られちゃったな。
吉原さんも上手く断ってくれるだろう。




「今の人……社長さんですか?」




運転席からジロウが聞いてきた。




「いや、今の人は新しく副社長に就任した人、前社長のお孫さんだって」




「随分気に入られてましたね、プレゼンは上手くいきました?」




「ジロウ、私を誰だと思っているの?完璧に決まってる」




「ハハハ、そうでしたね」




「気に入られたというか、最初は派遣を小馬鹿にしてる感じだったけど私のプレゼン聞いてからあの感じだから、ハハーン……惚れたな?」




「えっ!?」




「アハハ!うそうそ、ちゃんと吉原さんが上手くまとめてくれるって、専属秘書なんて無理だよ、他にも山程仕事あるのに」





そう簡単に受け流していた。
吉原さんが大のお金好きだってことをすっかり忘れてたのだけども。
その後も接客業務に勤しんで夜遅く事務所に帰った。
いつもならジロウの車で直帰…だが「事務所に寄るように」と吉原さん直々に連絡が入ったから。




笑顔で出迎えてくれたことに不信感を抱く。




「えっ!?承諾したんですかっ!?」




目玉が飛び出そうになった。
私のクライアントたちは!?
接客業務は!?
レンカノしないで良いのはラッキーだけど!!




「良い人に気に入られたね〜逃す手はないわ、破格の値段で交渉してきたわよ」とウィンクしながら契約書を見せてきた吉原さんこと吉原 友希 37歳、女性スタッフ専門の便利屋UNEEDの敏腕社長。
見た目からしてザ・キャリアウーマンな吉原さんは常に私の憧れだけども、この契約には異議あり!だ。





「クライアントどうするんですか!?私は接客業務さえ出来ればそれで良いって最初に…」




「あら、秘書もれっきとした接客業務じゃない」




「…………いつからですか、来週!?」




待てよ、じゃあ、レンカノ入ってたけどキャンセルってこと!?それは好都合。




「その日はジロウに早めに迎えに行ってもらって早退って形で了承得てるから」




「はっ!?」










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