甘い蜜は今日もどこかで
第5章 【もし間に合うのなら】
「えっと、なになに?そうね、歳は26歳…もうじき27になる、射手座のAB型だけど何か?悪いけどスリーサイズは答えれないわ、下着の色もね」と言うと周りもクスクス笑ってる。
頭の中がお花畑なのね、興味を持ってくれるのは嬉しいけどキミは高いお金を払ってこの大学に通い、講義を受けてる身なんだからもう少し真面目に……と言っても今はわからないか。
学生のうちはそんなこと俯瞰的に捉えないからね。
最後に書いてた質問応えてあげますか。
それで終わりだからね?
「あと恋人は居ません、好きな人は居るけどね、はい、この話は終わり、満足した?」と学生に聞いたら真っ赤になって頷き、その後は真面目に講義を受けてくれました。
臨時講師とはいえ、講義が終了しても周りを囲まれて動けない。
写真撮ろうって若いお肌と並ぶのは嫌よ。
もみくちゃにされる前に助けてくれるのがジロウであって。
「椿さん、次のお仕事が」って輪の中から引っ張り出してくれる。
クライアントに挨拶して本日の業務は終了。
会社にも連絡して車に乗り込む。
「やっぱまだ椿さんの人気は凄まじいっすね」
シートベルトを着けながらジロウも疲れ気味。
静かに走らせて大学校内を抜けると、お店に立ち寄ってカフェラテを買ってきてくれた。
後部座席に乗る私はジロウのチョイスしたキャラメルフラペチーノを受け取る。
「あ、普通のカフェラテが良かったですか?」
「ううん、これで良い」
ジロウはスタンダードなカフェラテにしていた。
運転しながら時々飲んでる。
信号待ちになったところで後ろからキャラメルフラペチーノを「一口飲んでみ」と与える。
何の躊躇もなく同じストローに口をつけ「甘いっすね」って目尻にシワを寄せるの。