甘い蜜は今日もどこかで
第5章 【もし間に合うのなら】
「あっ、この後僕たちで飲みに行くんですけど秘書課の方たちもどうですか?」ってキラースマイルで誘ってきた。
先輩たち、どうするのかな。
「あ、それ良いですね〜!って言いたいところなんですけど、皆それぞれ私用があるのでまたの機会に誘ってください」
ナイス…!助かった。
「え〜残念です、誘ったりするのに連絡先聞いても良いですか」ってグイグイ来るじゃん。
「え、何ですか?」と言う先輩もなかなかのキラースマイルで相手も圧倒されている。
同じエレベーター内という逃げれない場所でわざと断りきれないよう持っていってる……あざとい。
「秘書課の皆さんと飲みに行けるなんて夢のようだから」
「そんなことないですよ、私たちも普通のOLなので」
「いや、華が違いますよ、同じタイミングでエレベーターに乗るのも何かの縁、連絡先お願いします!」
3人居たら3人とも頭を下げててこれはヤバい雰囲気。
「あ〜、じゃ、答えはNOです、ごめんなさい、今日は本当にタイミングが合わないしカレが居るので教えるのはちょっと……今度、社内イベントの打ち上げとかで良ければご一緒させてください」
綺麗な断り方……得点高し、さすが。
はっきり断ってるけど新たな提案もしている。
相手に嫌な思いをさせない答えだ。
「あ………わかりました、では、その時に」
「はい、ありがとうございます」ってまたキラースマイル。
社長秘書なだけある。
1階に到着してエレベーター前で彼らと別れた。
「さすが、断り方完璧」と別の先輩秘書。
「うーん、タイプじゃなかったんだよね」ってケロッと言うから唖然。
「先輩ってカレ居たんですね」
「え、居ない居ない、ウソに決まってるじゃん、でも一番効果あるのは居るって思わせることだから、この人とはナイなって思ったらそう言うよ、見つかってもその人がカレって言えるしまだ付き合ってなかったとしても事実にしちゃうし」
凄い自信……でも、先輩だったらちょっと本気出せばすぐに落とせそうです。
そして、先輩たちはこの後本気のエステに行くらしくて美に関してとことん追求してるなって感じた。
途中まで一緒に居たのでジロウを紹介するハメに。