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甘い蜜は今日もどこかで

第7章 【愛したい守りたい】






ついに2人で出社するところを何人かに見られたけど割りかし堂々と出来るものだ。
お迎えに上がった……とでも言い訳がつく。




早速、秋山さんと引き継ぎをして、今日の午後にはUNEEDの本社に戻ってもらう。




「どうでした?DAiKIさんとの撮影」




小声で聞いてくる秋山さんはかなりのファンらしい。
羨ましがられててめちゃくちゃ言いにくいけれど、どうせ完成したMVを観るのは間違いないのだから言わなければなぁ。




仕事の手は互いに止めることなく会話を続ける。
カクカクシカジカ……と当たり障りない程度に嘘偽りなく説明した。
結局、吉原さんにも詳しく聞くだろうと思ったし、耳に入るのは時間の問題なのだ。




「やっぱり凄いですね〜DAiKI!ひと目でも会いたかったです〜!本社来てたのも後で知ってショックでした〜!で、どうでした?キスの感想は」




「此処では言えない」と更に小声で耳打ちするとデスクで悶絶していた。
だって言えないでしょ。
副社長の耳に入ったらそれこそとんでもないことになりそう。
面倒なのは嫌。
とりあえず、目の前の仕事を片しつつ、副社長との距離感を保たなければ…と考えていた。




全て引き継ぎが終わり、順調かに思えたその矢先に。
バン!と副社長室の扉が開き、悲壮な顔をした副社長がこっちに向かってやって来て、緊急事態だと感じ取れた。




「藤堂さん、今日明日……いや、明後日までのスケジュール白紙に出来るか?」




唐突に何を言い出すのかと思ったけど
「やってみます」と返事をしていた。
秋山さんにも手伝ってもらい、引き延ばせるものは引き延ばし、会議もいくつかキャンセルした。
予定の組み直しはいくらでも出来る。
そういうのが秘書の底力を見せる時だと思うから。




「ありがとう、○○コーポレーションの社長が予定していた工事をキャンセルしたいと言ってきた、おそらく△△ハウスが根回ししてるかも知れない、とにかく俺は○○コーポレーションまで行って社長を説得してくる、調整は頼む」




△△ハウスとはライバル社だ。
こんな事はよくある話。
副社長も常にマークしていた。




「わかりました」




「あと、藤堂さん、同席してくれるか?」




「え……はい、わかりました」










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