テキストサイズ

甘い蜜は今日もどこかで

第8章 【ずっといつまでも】






ジロウにはジロウのペースがある。
時には歩幅を合わせる。
顔を見て話をする。
手の温もりを確かめる。
そしたらほら、自然と「大好き」って言えてるね。
もう覚悟を決めた恋だから。
この手はずっと離さないよ。




ジロウも仕事復帰する前に吉原さんやUNEEDのメンバーのほとんどが集まって快気祝いとして初めて吉原さんの自宅にお呼ばれした。
着いてからは皆が絶句。
タワーマンションの最上階でリアルなパリピ人間だったのだ。




「いや、夢ある〜私もこんな生活したいわ」って誰かが言ってたけど、どう頑張ったって同じ生活水準には達せないよ。




「皆、オッツー!ジロウはお酒ないけど入院生活オッツー!」




相変わらず軽いノリ。
奥の部屋から見知らぬ外国人。
スペイン人で今お付き合いしているそうな。




「ユキも飲み過ぎには気をつけて、ベロベロになっても抱くけど」




もう、何もかもぶっ飛んでる人だ。
安易に2人の夜を思い浮かべてしまった。
高給寿司や宅配がテーブルに並べられ、これまた高そうなシャンパンやらワインやらが置かれてる。




ジロウは吉原さんに取られて仕事の話をしていた。
復帰してからの話だろう。
私は気心知れてる同僚とお酒を嗜みながら楽しい時間を過ごした。




「椿、チョイチョイ」と途中で吉原さんに呼ばれてジロウと交代した。
え、2人きり!?何だろう。
ちょっと身構えてしまったけど。




「ジロウの気持ちは聞いた、椿はどうするつもり?これから」




「え……?」




「ほら、あいつたまに抜けてるとこあるし椿くらいしっかりした人が近くに居ないとダメになっちゃうんじゃない?」




あぁ、そうか。
ジロウ、もう話したのか。
えっと、どこまで話したんだろう。




「ずっと支えていけたらなって思ってます……恩返し、的な?今まで随分支えてもらってたんで、弱ってる時に恩返ししとこうかなって」




結局おちゃらけた言い方になってしまったけど吉原さんはもうすっかり酔っ払っていたので当たり障りない程度に答えておく。
「うんうん」とニコニコしながら聞いてくれていた。







ストーリーメニュー

TOPTOPへ