甘い蜜は今日もどこかで
第8章 【ずっといつまでも】
「やっぱりそうだったんですね!」って先輩方も興奮しちゃってるし。
「そうそう!フラれたの!まずは俺を慰めろ!」とか言って他の秘書ともフランクに接して笑いに変えている。
もう、何も心配することはなさそうですね。
此処に来た当初は、周りを寄せ付けないほどの空気感を持っていたからよく衝突もしていた。
親からの重圧も計り知れなかっただろう。
それでも今は壁を自ら壊して、こんなサプライズまで皆と企てる関係性を築けたんですね。
「えっ!藤堂さんが泣いてる!」
すかさずハンカチを差し出してくれる副社長に甘えつつ、ちゃんと自分の言葉で皆さんにお伝えしようと思った。
「こんな嬉しい誕生日はないです、ありがとうございます……副社長が皆さんと仲良くしてるところとか見れて…本当に……」
「おい、俺を幾つだと思ってるんだよ」
「一匹狼タイプだったじゃないですか、最初はめちゃくちゃ大変だったんですからね」
「そりゃどうも、すいませんっした!」
2人の掛け合いを見て皆さんも笑ってくれる。
「藤堂さんが来てから副社長の表情がだいぶ変わったんだもん、愛の力だったんですね?副社長」と言われて耳まで真っ赤にして否定してる。
「副社長からは本当に学ぶ事がたくさんあって、本当に尊敬してます」
「やだ、本当に退社するみたいじゃない、まだ先でしょう?え?本当にもう結婚しちゃう感じ?」
「いえ、それはまだ……彼もやっと復帰したところですし、ゆっくりだけど前に進めたら…といった感じです、だから皆さんが期待されてるような展開じゃないんですけど、一生を添い遂げたいなっては思ってます」
まさか自分の口からそんな言葉が出てくるなんて思いもしなかったけど、副社長が暴露しちゃったついでに私も自分を奮い立たせるべく宣言しちゃった。
「今期の決算月までは頑張って皆さんと一緒にお仕事させてください」
この会社は9月が決算期。
延長した契約期間も丁度9月までだ。
3ヶ月前から新しい秘書を雇い、引き継ぎをする予定。
あと7ヶ月!!
最後まで気を引き締めて秘書を全うします。