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甘い蜜は今日もどこかで

第9章 【離れない永遠に】






「それは無理な話ですね、もう人妻ですよ?私」




「だから?本当で好きな相手なら略奪するでしょ?早速されてみる?」




ネクタイごと引っ張り身体が密着する。
鼻の頭がくっつく至近距離にまで迫ったらどんな反応しますか…?




「してみます…?人妻と不倫……そんな覚悟、本当にお有りなら…ですけど」




「人妻になった途端、意地悪なんだね?藤堂さんが本気なら俺は奪うよ」




お互い一歩も譲らない姿勢でクスクス笑い合う。
真っ赤になった頬を擦りながら
「そのキリッとした上目遣いヤメテ」って距離を取る。
ノれるとこまでノってみたけど同時に降参しちゃうなんて、私たちに不倫は向いてないみたいですね。




「俺が奪わなくても良いように幸せになってくれよ」と頭をポンポンとしてくれた。




「何で破局する可能性ありきで言うんですか」




「わかんないよ?人の気持ちなんて」




「私、別れてって言われても彼を離しませんので離婚は絶対に」




ない!と言おうとしたところでノックされ室長が副社長をお呼びだ。
用事が終われば同級生のよしみか
「あまり藤堂さんを困らせるなよ」と副社長に言ってくださった。
ブーブー横で文句言ってる副社長はスルーし私にも
「悪気はないけど突っ走っちゃうところあるからごめんね」とフォローまで。
何だかんだ言いながら仲良いんだよね2人って。




「ちゃんとわかってます、大丈夫です」




フッと笑ったら2人してガン見されてしまう。
ん?てなって
「自覚ないみたいだから言うけど、そういう自然に出る笑顔の破壊力ヤバいからな?お前」と小突かれる。
室長も眼鏡をクイと上げて頷いてらっしゃってこっちが赤面。
無意識が一番怖いってやつ。




そして温かく迎えてくださっていたこの会社の全従業員の間で、もうすぐ契約期間が終わって副社長の秘書が代わると噂が飛び交っていた。
「おはようございます」って挨拶しただけで拝まれてる気が。
やたら視線感じるんですけど…?




左手薬指に光る指輪を見てついに副社長と結婚かってガセネタまで出てきたらしいので名札だけでも変えてみようかと思ったくらい。








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