甘い蜜は今日もどこかで
第9章 【離れない永遠に】
「芹(セリ)、楓(カエデ)、笑って、カメラ見て」
「はーい、撮りますよ〜!お人形さん見ててね〜!」
あれから数年経って、とある写真館にて家族写真を撮りに来ている。
「あ〜もうお姉ちゃんじゃなくてママの隣が良い」
「じゃ、ママの隣おいで」
「やった」
「芹もおいで」
コクリと頷く芹はお姉ちゃんで年長さん。
妹の楓はちょっと我儘なお転婆娘な年少さん。
「さぁ、撮るぞ〜」と意気込むジロウが居て、満面の笑みを見せる私たち。
「藍(アイ)ちゃんも笑ってくれてたかなぁ?」と私のお腹を優しく撫でる二女の楓。
もうすぐ産まれてくる三女はまだお腹の中だ。
七五三も兼ねての家族写真だったけど、産まれてからだとバタバタして撮りそこねちゃいそうだし、マタニティーなのも貴重だしってわけでこの時期になった。
でも、撮れるうちはたくさん撮った方が良いと思う。
いずれ娘たちが成長して恥ずかしいと言われて撮らなくなるその日まで。
「あ、動いた」
「「「えっ!?どれどれ!?」」」
3人とも慌てて私のお腹を触るんだもん、写真館のスタッフさんたちもクスクス笑ってる。
5人家族になったらまた撮りに来ようね。
風の便りで海を越えた向こうで副社長のプロジェクトは大成功を収め業績も鰻登りらしいと聞いた。
そのうちドヤ顔で戻ってくるねってジロウと笑う。
ジロウの火傷の痕はすっかり綺麗になって一番酷かった二の腕以外はわからないくらい元通りだ。
背中の世界地図みたいな痣はまだ薄っすら残ってるけど近くで見ないとわからないほど。
本人は気にして隠したりするけど、私は全部含めてジロウが好きだから。
エッチのたびに傷跡にキスをする。
忘れられないし忘れたくない。
これを見るたびに思い知るの。
「本当、この男を選んで良かった」って。
「え……?」
「ということで、もう1回、良いよね?」
「明日、早いんじゃないの?」
3人目を生んで早々に仕事復帰したものの
「ぐっすり寝てるから今のうちに…だよ」とお強請りする。
こんなエロモードの私に逆らえるわけないよねぇ?
もう打ち止めよ、と避妊も忘れずに。