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甘い蜜は今日もどこかで

第2章 【曖昧なカンケイ】






「こんなふうにされて浮つかない男が居るか?好きになるなっていう方が難しいだろ」




真面目な顔して突然の告白。
まさかのタイミングで動揺を隠せないでいた。
彼はきっと直感型ですぐに行動に出るタイプだ。
良く言えば決断力が長けている。




「これもまた、契約違反だと言うんだろ?だから言わないで居たのに、キミはすぐに俺を試しにかかる」




「試してなんか……」




「コレ買いに行った時、俺のこと思ってくれてたんだろ?バレないように必死だったんだな、あの時………そう思ったら好きが溢れて言葉に出ちゃうよ」




いつもは恥ずかしそうにチラチラ見るだけだったのに真っ直ぐ私を見つめてる。
こっちが逸してしまうくらい。
手を取って逃してくれない。




「藤堂さん、ずっと傍に居てくれる?」




精一杯の真剣な告白を無下には出来なくて一瞬、素に戻った。




多分、私が居ないとダメになっちゃうタイプなんだろうなって思うけど………それは、私じゃなくても同じ程度に仕事の出来る人間ならあなたを支えてくれるでしょう。
私という外見や仕事に対する姿勢に惑わされているだけ。



「真剣にお付き合いして欲しい………勿論、契約期間内はルールを守る、それが過ぎたら……本気で考えて欲しい、俺のこと」




なんだかんだで半年間だった専属契約の半分は過ぎていた。
折り返し地点でもう告白……ですか。
あと半分……どう接しろと?




「考えさせてください、ちゃんと、契約終了日にお応えしますので」




一旦持ち帰らせてもらう。
真摯に受け止めて答えを出す猶予をもらった。
言うだけ言って今はゆでタコ状態。




それからというものの、わかりやすい態度で接してくるようになった副社長。
やっぱり周りも気付いてきてる。




「だからどうして人前でデレデレするんですか、周りに示しがつかないです」




2人きりになった部屋で私は思いきりダメ出しをする。




「だって藤堂さんが可愛いから」




「あぁ、そうですよ、可愛いですよ!でも私は仕事は仕事と割り切って堂々としてた前の副社長の方が格好良いと思いますけどね!」




「え、そうなの?格好良かった?」




売り言葉に買い言葉で怒る気も失せてくる。










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