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甘い蜜は今日もどこかで

第3章 【どんなに焦がれても】






そっか、ジロウは私と副社長がデキてるって思ってるんだね。
こんな必死になっちゃって、遅いよ。
うん、キスはしたね。
認めるけど、それが恋愛感情なのかと聞かれれば上手く答えられないかも。
勝手に身体が動いたの。
あれってどういう意味なのかな?
自分でもわからない。
ジロウが電話かけてきてくれなきゃ最後までシてたのかな。
それこそ、取り返しのつかない過ちになるんだよね。




「ダメだよ、椿さん!」




温かいね、ジロウ。
痛いよ、そんなキツく抱き締めないで。




「僕が辞めさせません、椿さんは此処に居るべきだ」




「今さらそんなこと言わないでよ、せっかく逃してあげようかって思ってたのに」




「僕が離れない…!椿さんが働きやすいように僕が傍に居ますから…!」




グイッと手で押して離れる。
それに対抗するように引き寄せられる。




「どうしたら良いですか…?どうしたらいつもの椿さんに戻るんですか?」




やめてよ、弱いの、その顔。
目を逸らすと肩を掴まれて再び視線を奪う。




「指示……してください」なんて、今言われたら私……どうなるかわかんないよ?




「じゃ、キスしてよ……何処にも行けないように、俺だけのだって自己中極まりないキスで繋ぎ止めてよ」




出来っこないでしょ?
クライアントと一緒で、キャストに手を出してもクビだもんね。
ジロウにそんな度胸あるはずな………
!?!?




勢いよく抱き締められて横髪にキスされた。
一瞬ビビッたけど唇には出来ないか、やっぱね。
うん、それでこそジロウだよ。




「今はこれで許してください……僕も規約違反したらそれこそ椿さんをお守り出来ないので……」




「私今までジロウには規約違反ばっかしてたのに?」




「それを止めるのも僕の仕事でした、すみません、怠りました」




「今のコレは?」って言うとパッと離すんだもんね。
「何処にも行けないくらい僕が手厚く守ります」とか色々ズルい。




だからTシャツ掴んで引き寄せて私からキスしちゃうんだよ。




「怠って良いよ、私が勝手にしてることだから不意打ちだったってことで」




「はい………そうします」




「良いの?これからずっと勝手にしちゃうよ?」









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