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スミカ

第1章 105号室

「実はこの辺り……」


俺はセールス女の次の言葉を待った。
しかしセールス女は口の端をあげてニヤリと笑った。


「やぁだ、そんな怖い顔しないでくださいよ~」

「!?」

「この辺りはね、フィリピンパブが多いですから、夜間に女性をよく見かけるんですよ。団体でハイヒールの音鳴らすからちょっと響くんですよね~」

「……」

「ウフフ、もしかして何かあると思いました?」


俺はかなりイラッとした。


「あんたの話に付き合ってるほど、暇じゃねーんだよ! もう来んな!」


俺はおもいっきりドアを閉めた。
そして鍵をかけた後、ドカドカと床を歩きソファーに座って、ビールをぐびぐびと一気飲みした。


「…はあっ、なんなんだよ、あのクソ女は!!」


「夜中に出るな」とか「何か聞こえたか」とか、思わせ振りな言い方しやがって…。
一瞬信じそうになっちまった。
ほんと…胸糞悪い。


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