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スミカ

第1章 105号室

ゆうべ? なんでそんなこと聞くんだよ…。


「その顔じゃ、あまりよく眠れなかったみたいですね?」

「……」

「わかります、私も場所が変わると寝付きが悪くなるんですよね~」


セールス女は俺の返答がないのもおかまいなしに、淡々と喋り続ける。真理との会話を邪魔された俺はイラッとして、ドアを閉めようとした。


「もしかして、ゆうべ何かありました?」

「…え…」


また突拍子もないことを問いかけてきたセールス女の言葉に、俺は思わず反応してしまった。
セールス女はニヤリと笑う。


「もしかして何か、聞こえたんじゃないですか?」

「…っ…」

「たとえば……ハイヒールの音、とか?」

「!」


俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
なんでハイヒールの音のことを知っているんだ?
この女は一体、なんなんだ?
何が目的なんだ?


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