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溺れるくらいに愛されたい

第1章 居酒屋で

全くそうだ。

男女共学の大学に通っていると言うのに、少しも恋愛の兆しは見えない。

素敵だなと思う人じゃなくても、いいなって思うくらいでいいのに。

「ねえ、同級生だった結城君、覚えている?」

「うん、覚えているよ。」

花織は、一口ビールを飲むと、ショックなことを言った。

「彼女できたんだってね。同じ大学だって。」

「そう……」

率直に言えば、私は結城君が好きだった。

お互い、好きだって意識していたと思う。

でも、受験勉強のしがらみに、二人共逃れられなくて、付き合うまでにはいかなかった。

それにもう、大学に入ったのだから、しばらくは勉強の事など忘れて、恋愛をしたいに決まっている。

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