大人の俺と子どもの私
第5章 施設の子
「おはよ、紗南ちゃん」
「おはよう。」
リビングに行くと、紗南が最後だったみたいで莉子ちゃんも全員揃ってた。
「はい、これ紗南の。」
「ありがと…」
まだ働いてない頭で席に出された朝ごはんを眺める。
秋ちゃんはそのままどこかに消えていった。
今年も栞と同じクラスになれたけど、最悪なことに唯も同じクラス。
別に兄弟じゃないし、同じ施設の人が同じクラスでもあり得ることだ。
でも正直、学校でも家でも顔を合わせてお互いうんざりしてる。
「ちょっと、これ紗南のバナナ!」
そんな事を考えてる間にも、パンとは別のお皿に入れられたフルーツを奪われる。
「あんたがボケーってしてるからいけないんでしょ。」