大人の俺と子どもの私
第5章 施設の子
チラッと唯を見るとめっちゃ嫌な顔してる。。
「早く拭きなよ…」
「唯のせいで溢れたんだから唯が拭いてよ。」
「あんたの手が当たって溢れたんじゃん!」
「唯がすぐ返してくれないのがいけないんじゃん!」
溢れたお茶をそのままに、また喧嘩がヒートアップする。
「どっちでもいいから早く拭けよ。」
そんな2人に、いつの間にかリビングに戻ってきた秋ちゃん。
壁に寄りかかりながら低い声で言う。
怒った秋ちゃんは怖い。
それを十分に知ってる紗南は、怒りがMAXになる前に急いでティッシュを持ってきて拭き始める。
「紗南も唯も、朝の時間ない時に何してんの。
なんでこうなった。」
秋ちゃんが聞くと、
「紗南が叩いてきたんだよ…。」
とだけムスッとした唯が言うから、たまらず反抗する。
都合よく紗南を悪者にするのは唯の特技欄に書ける程。
「違うでしょが!
唯が紗南のフルーツ勝手に取るからでしょ!」
「ううん!違うよ秋ちゃん!
聞いたもん、食べていい?って」
「は?聞かれてないし!
平気で嘘言うなよ!きもすぎ!」