大人の俺と子どもの私
第2章 新学期
「…ねぇ、ボブにしてみない?
俺、本気で言ってるよ?
変われるいいチャンスだと思うんだけど。」
真っ直ぐな目で紗南を見つめると、動揺してしまったのか下を向いて
「…そもそもボブって髪型分からないし…」
小さな声で返ってきた。
「ボブはねぇ…そうだな…」
そう言って低めのチェストの上に置かれた鏡を取ってきてテーブルに置くと
「こうっ!見てって!」
と、紗南の肩を叩く。
「顎のラインで髪をこう、パツッとするんだよ。
一直線にさ、後ろもぐるっと!
そんで、前髪もパツッと!」
紗南の髪を触りながら、手でジェスチャーして伝えると
「すごい短くなるってこと…?!」
普段顔を隠してた長い髪が短くなることに不安そうな顔をした。
「そっ!」
不安そうな紗南をよそに、グッドを向ける。
「でも、顔隠せなくなるよ…」
「隠す必要なんてないでしょ!
可愛い顔してるんだから、もっと自信持って!」
そう言って、両手で紗南のほっぺを挟んだ。