大人の俺と子どもの私
第2章 新学期
「ねぇー。紗南ー。
今日美容師の人が来るんだってー」
春休みもあと2日。
比較的自由な時間は、部屋から出るのは嫌という紗南の元に行って、2人の時間を過ごすことが多くなってきた。
「へぇ。」
床に座りながらベッドに腕を伸ばしリラックスモードの俺に、ローテーブルで残りの春休みの宿題をやりながら適当に返事をする紗南。
もう最初の頃の緊張感は無くなった。
なんなら秋はノックだけして返事も聞かずズカズカと入ってくるようになった。
「へぇって。」
適当に返事すんなよぉ!と、だらけた体をガバッと起こして言う。
「ねぇ紗南、俺、紗南はボブが似合うと思うんだけど」
伸ばしっぱなしになった胸の高さまである髪。
その髪に指を通したり、くるくるしたりしていじりながら喋る。
「やぁめて、いいの、このままで。」
少し怒ったように俺が触ってる髪を奪い、また宿題に目を移す。
そんな紗南の書き進める左手を掴んで手を止めると、
「ん〜もう!」
って言いながら俺の顔を見た。