大人の俺と子どもの私
第2章 新学期
お昼ご飯を食べて、午後。
「…やっぱり…やめとこうかな…」
時間が近づくにつれ、ソワソワが止まらない。
今も自分の服の裾を握ってモジモジしてる。
「絶対に似合うから大丈夫。俺を信じて。」
もう何回目か分からないやめとこうかな。に、
もう何回目か分からない大丈夫。を返す。
「…でも人もいっぱいいるし…」
櫻本学園には数ヶ月に一回、職員の知り合いの美容師の人が来てくれる。
本当は担当職員と一緒に美容院に行けるのが理想だけど、現実はそんな簡単じゃない。
中学生や高校生で、自分のお小遣いやバイト代で美容院に行きたい子以外は、美容師の方が来てくれて簡単にカットしてもらうのが現状だ。
「1番最後にしてもらったし、みんなそんなに見てないから平気だよ。」
壁にかかった時計で時間を確認して、、
そろそろかな。。
ん。っと紗南に手を出す。
不安げな顔のまま俺の顔を見てから、手を握ってくれた。
そんな紗南に微笑み、
「行こ。ずっとそばにいてるから。頑張ろう。」
と言って1階のプレイルームへ向かった。