大人の俺と子どもの私
第2章 新学期
「莉子ちゃん、ちょっと聞きたいことあるんだけど…」
職員室の出口に一番近い席に座る俺と、その左に座る莉子ちゃん。
すごいフランクに話しかけてくるから、俺ももう1週間経ってすっかり敬語が外れてた。
まぁここの人たちは、家族の形を作りたいから先輩後輩とか気にしてないらしい。
「紗南が学校の友達連れてきたいみたいなんだけど、そういうのってOKなの?」
すると莉子ちゃんから大声で返ってきた。
「え?!紗南ちゃん友達できたの?!」
「え?!友達?!」
「へぇー!!」
「紗南ちゃん友達作れるようになったんだー!」
…まぁそうなるよね。
職員室にいた他の先生たちも驚きを隠せてなかった。
あんなに友達できないと言われ孤立してた紗南にできた友達だもん。
「友達は大丈夫よ。
施設の物壊すような子とか、ここのルールを守れない子はダメだけど。」
施設で暮らしてることを言いたくない子が多いからか、友達を連れてくることはあまりいないらしい。
「子ども達の似てるってあまり期待できないけど、普通に友達見てみたいわ。」
莉子ちゃんも興味あるみたいだし、栞ちゃんって子が来たいって言うなら連れてきても大丈夫。と伝えておいた。