大人の俺と子どもの私
第3章 栞の家族
「ねぇそれよりさ!
秋ちゃんってほんとにかっこいいね!」
「またその話ー?」
授業参観の日から、秋ちゃんみたいなかっこいい人に出会いたいって1日1回は聞いてる。
「だってー、テレビの中にはかっこいい人いっぱいいるけど、身近のかっこいい人は初めてなんだもん!
ねぇ!
紗南はあんなにかっこよくて毎日一緒にいて、好きにならないの?!」
ローテーブルの反対側から食い気味で聞いてくる。
その圧に圧倒されながら、
「えぇ…。
まぁ…優しいし、一緒にいて楽しいし、普通に好きだけど…。」
「恋ではない?」
「うーん…。
恋するって…よく分からないし…。」
そう言うと目を輝かせて説明しだした。