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老人ホーム

第4章 介護の仕事

特別擁護老人ホームの職員として働きだして、数日経った後、出勤すると、介護チーフに呼ばれ、

「今日は、あなたの指導を担当する班長が同じ時間帯にいるので紹介しますね!」

と言って、一人の女性を紹介した。身長は160cmくらいで、細身の女性だ。歳は僕より2、3歳歳上だと思う。たぶん20代半ばから後半くらいだ。ショートボブのヘアスタイルで、なかなかの美人だ。彼女は、

「田中綾乃です。よろしくお願いします!」

と言った。口調はテキパキとしており、性格のキツさが何となく伝わる。

そこへ、丁度通路を通り掛かった看護師をチーフが呼び止め、

「こちらは看護師の本田恵子さん。ここの看護師の中で一番若いのよ!」

と紹介した。朝礼にいた看護師さんだ。本田は、

「嫌だ、若いと言っても30代半ばよ!」

と言った。本田は、白のナース服がピタっと体にフィットして、体のラインが綺麗に見える。長めの髪を仕事中は後ろでくるっと丸めてピンで留めている。本田は、話し方が穏やかで柔らかく、声に色気がある。顔、体型、話し方、全てが色っぽい。

僕は、2人に、

「よろしくお願いします。」

と言うと、チーフが、

「分からないことは何でもお姉さん達に聞いて!このお姉さん達が優しく教えてくれるから!私は、おばさんだけど…。」

と言った。

それからしばらく女性3人で話していた。女性が集まると、色々と話が弾むようだ。僕には分からない話も多く、僕は愛想笑いをしていた。

班長の田中は、

「これから排泄介助に行きますから、私に着いてきて下さい。もう、少しは、やってますよね?」

と、言うので、僕は、

「はい!でも、まだ、見ていることが多くて、実際に自分ではそんなにやってないです。」

と答え、後に着いて歩いた。

ここ数日間、一通りの仕事を、見させてもらって簡単なことはやらせてももらっていた。しかし、この時点では、まだみんな僕のことを素人なのでお客さん扱いで、のほほ~んとしている僕にもキツイことを言う人はいなかった。

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