狂愛の巣窟〜crossing of love〜
第6章 【渦巻く愛憎と独占欲に囚われても…】
本音を探りながら距離を保つのは危ない橋を渡るのと一緒。
終わるかも知れない、また繋ぎ止めるかも知れない。
優しいだけじゃ間違った伝わり方をしてしまう。
待つだけ待たせて、待つだけじゃつまらないわと勝手過ぎる私にどんな態度に出るのか。
もう少し手の灼ける子かと思ってた。
お利口過ぎて何考えてるかわからなくなる。
「正直にぶつかったら十和子さんと会えなくなるから……困らせたい訳じゃない、そりゃ出来ればもっと会いたいです、でもわかってて始まった関係だから……待つしかないのかなって」
「待ってても来なかったら?」
「毎月会えます……でもどうしても寂しくて会いたい時は何度か家の近くまで行っちゃって」
「そうだったの?連絡くれれば良かったのに」
「いえ、誰かと一緒でしたから、一目見れただけで嬉しかった」
「ほら、辛い想いさせちゃってる」
「辛くなんかないです、片想いしてたあの頃と比べたらちゃんと進歩してるんで」
なんて純粋無垢な子なんだろう。
今時珍しい。
感心してる場合じゃなくて。
再び顔を上げて「でも…」と反論しようとした瞬間、彼から唇を塞いできた。
相変わらず優しい唇。
「好きです、十和子さん、惚れた方が負けなんだって十和子さんから教わりました……だから僕の負けです、認めます」
濡れたままの髪もシャワー後の石鹸の香りも今は全部私を虜にしていく。
雄の目をした和泉くんに伝わると良いな。
私って面倒臭いオンナなのよ。
それでも良いの?
「来てくれただけで充分です、勝手に僕が言っただけなのに都合つけてくれた、僕にとってはご褒美だ」
ギュッと私から抱き着いて彼を見上げる。
照れて直視出来ないみたい。
こっち見てよ。
「時間ないよ、どうする?」
「あ………シたい、です」
まだそんなに真っ赤な顔して言ってくれるの?
ベッドに腰掛けて熱いキスを交わす。
「抱きたい?抱かれたい?どっち?」
「え………抱きたい、けど……十和子さんからもシて欲しい」
「両方?欲張りなんだね」
「ごめんなさい……」
「ううん、嬉しいの」