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狂愛の巣窟〜crossing of love〜

第8章 【戻れないのなら一緒に乗り越えてください…】











青天の霹靂、とはまさにこの事です。




平日の早朝に突然やって来た来客。
全く予想もしなかった。
本当に急に災いが起きると、人って言葉が出なくなるんですね。
豆鉄砲を食らったような顔をしていたと思います。




初めての面識ではありません。
何度かお会いしている。
挨拶程度でしたけど。
お顔はよくわかっています。
怒ってる?怒ってるわよね。
誰に?私しか居ないか。
さて、どうしたものか。
動揺してはならないと頭の中で警鈴が鳴る。




「おはようございます、どうされましたか?」




第一声、何を言う?
目は真剣だ。
一切笑っていない。
握り拳がワナワナと怒りに満ちているようにも見える。




突如目の前に現れた私より背の低い綺麗な人。
私にとっては少し羨ましく思える人だった。




肩につくかつかないか、ブラウンのミディアムパーマ、クリッとした大きな目、細身のスキニーにブラウスと私服のセンスも先生だからか真面目さがよくわかる。
サッと見えるように出された携帯。
そこに映っている動画に私は固まった。




「コレ、あなたですよね?」




優しさなのか、聞きたくないからなのか音量はないまま流されている。
よく見るフリをしてどう出るかを考えていた。
あぁ、でも確実に黒、真っ黒。
完全に証拠を押さえられている。
消してねって言ってたのにな。
もう何を言っても火に油を注ぐことになるだろう。




動画の内容は、私と中岸さんがハメ撮りしているものでした。
目隠しも何もありません。
勿論、無修正で全て見えています。
中岸さんの顔も。
コレ、見ちゃって慌てて飛んで来た……という訳ですか。
「あなたですよね?」って2回問い詰めてくる彼女は正真正銘、中岸さんの奥さまだ。
修羅場とは今を指すのでしょう。




「私………ですね」と認めました。
開き直るのではなく、きちんと謝罪から入る為です。
「すみませんでした」と頭を下げる。
許してもらうなど到底頭にはないけれど、まさか乗り込んで来るとは思わなかったこと自体が私の驕りなのだ。
過失だ。
バレないといつから思ってた?
こうなる事、どうしてわからなかった?




「いつからですか?主人とはいつから?」








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