狂愛の巣窟〜crossing of love〜
第2章 【愛しき人たちに囲まれて幸せなのです…】
「奥さんにはしてたじゃないですか」
初めて窓越しに見せられた時、身体中に電流が流れたんですよ。
衝撃的という言葉では足りないくらい。
例えば、あの時奥さんにしていたように、床に飛び散った精液を舐めろと言われれば舐めて差し上げるのに。
私を無駄遣いしてる………教えてあげなければ。
「妻とあなたは違う……同じように扱いたくはない、あなたを犯しながら鳴かせながら……気持ちが離れていってしまわないかと何倍もの不安が押し寄せてくる…っ」
自ら抜いてしまった。
楽になったけれど身体は支えがないと立てない状況で、そっと差し出された腕に寄り添う。
まだこんなに上向いてビンビンなのに。
不倫の醍醐味を忘れてしまっている。
この手を縛って動けないようにして、己の快楽だけを本意とした自分勝手な性行為をしてくれるんじゃなかったの?
「私に何を求めてるの?」
真っ直ぐ見つめ合うその先にまともな答えがあるとは思えない。
だから愉しいんでしょ?
最初から何もないのに何を求めるの?
お互いが気持ちの良いセックスが出来ればそれで良いじゃない。
それ以上を求めるのならもうこの関係は解消した方が良い。
略奪なんてご法度ですもの。
「一度だけで良いですから……普通に抱いて良いですか?私を、愛してくれませんか?」
予想通りのセリフでした。
沼にハマり抜け出せず、そして……愛してと叫ぶ。
「あなたを……ひとりの男として?」
「はい」
たった一度で良い、なんて嘘を見抜けないとでも?
わからないフリをしてお望み通り抱かれてあげるのもひとつの手よ。
でも私はそんなお情け与えてあげない。
「ごめんなさい、それなら他を当たってくださいますか?私たち、もう終わりにしましょう」
代わりならいくらでも居た。
あなたの肉棒はとても魅力的で私を幾度と果てさせた。
不倫の概念を履き違えたのならもうこの先は進まない方が宜しいかと思います。
なぜなら………
「嫌だっ!!」
「痛っ…!」
両腕を強く掴まれ壁に叩きつけられる。
それさえ悪いと思わない豹変した姿に一瞬面食らってしまいました。
男の人っていつもそう。
突然大きな声を出して女性を黙らせる。
萎縮させて勝ったつもりでしょうか。