狂愛の巣窟〜crossing of love〜
第4章 【止まらない欲情に乱れて…】
新しい年を迎え、私たち夫婦と一颯くん有紗&理久くんは初詣の神社前で待ち合わせ。
初めて見せたであろう着物姿の私に熱い視線が集まった。
「ママ、綺麗……」
「あけましておめでとう、皆」
一颯くんと理久くんは固まりながらも慌てて「お、おめでとうございます」って語尾まで声が被ってる。
どうしようかな…と思ったんだけど、やっぱり皆が集まる日だし、久しぶりに家族が揃う日だから頑張っちゃった。
「ママ、似合う〜!私もいつか着たーい」
「いつでも着付けしてあげるよ、一緒に買いに行こうね」
夢だったりするの、娘と着物で出掛けたりするの。
出来れば、亨さんも着て欲しいくらい。
一颯くんも家族全員で着物とか最高じゃない。
いつもとは違うアップヘアスタイル、薄いラベンダーカラーの着物にオフホワイトの羽織りと同系色のファー付き襟巻き。
自然と醸し出す女の色気が他の雄まで近付けてくるのかしら。
しっかり手を繋いで威厳を見せてくる亨さんが何だか頼もしい。
「皆の前でイチャつかないで」って有紗に怒られちゃった。
お参りをして亨さんが買ってきてくれた甘酒を皆で飲んで、その足で家へと向かう。
割りと大きな神社なので参拝客も徐々に押し寄せて来た。
混まない時間帯にお参り出来て良かった。
「Oh! amazing!トテモキレイデスネ!」
突然目の前に来て足を止めてきた外国人観光客…なのかな。
金髪の白人に声を掛けられ一瞬たじろいでしまったが「Thank you」と笑顔で応じれた。
着物が珍しいのかしら。
チラホラ他に着ている方もいらしたけれど。
「ニホン、キレイナヒトオオイ、アナタイチバン」
「アハ!ママ早速ナンパされてる」
「え?ナンパなの?違うでしょ」
「十和子?どうした?」
後ろに居た亨さんも来て早速威嚇し始めたので「sorry」と逃げてしまった。
振り向くと皆で睨みつけていたみたい。
「目を離すとコレだ」って私怒られてる?
ギュッと手を握って「じゃ、掴んでて」と亨さんを翻弄する。
耳まで真っ赤になってくれるのは見てて楽しいよ。
他の皆には今は焚き付け中だから。