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主治医との結婚生活

第32章 奏真と義母

僕は 明花ちゃんのお母さんに少々…
いや かなり怒っていた。


僕が 明花ちゃんのお母さんに会ったのは
明花ちゃんに告白をしに行った あの日 だけ。

しかも あの時は 
明花ちゃんで頭がいっぱい だったし、

明花ちゃんのお母さんは 若く見えて…
お姉さんだと ばかり思っていた。


「嫌だなぁ!母ですよ! 私、一人っ子ですよ? 
知らなかったんですか?」

いや… 一人っ子だと 思っていたよ…?
でも あまりにも 若くて…

そんな 印象しか ない。


その後…

婚約して 挨拶に行こうとしたら

「どんな子か知ってるから わざわざ
来なくて いいんですって。」

と、言われ…

両家の挨拶に至っては

「遠くから ご両親に来て頂くのは申し訳ないし、 
仕事が忙しくて出向けないので 大丈夫ですって。」

この 時点でも かなり  うん? と
思っていたのだが…

「結婚式は 仕事が忙しくて 来れない
んですって…」 

明花ちゃんの言葉に…

いや、 待て! オカシイだろ…!
娘の 結婚式だぞ?!
何、 軽く スルーしようとしてるんだ?!

さすがに 苛立った。

しかも 明花ちゃんも
「仕方ないですね…」
って !!!

麻痺し過ぎだろ…


さすがに…  どうにか会わせて貰って…

結婚式は 明花ちゃんの為に参列して貰わないと…。

今まで 明花ちゃんは十分 我慢してきたんだ…!

結婚式くらい…
いくらなんでも… 可哀想過ぎるだろ…!


そう 思っていた矢先

突然 明花ちゃんの母 梓さんが 1人で 
家に訪ねてきた。


「突然 押しかけて ごめんなさいね?」

色が白くて 目鼻立ちの整った 
明花ちゃんによく似た その女性は
言葉の割に 悪びれが無さそうだった。

艶々した 栗色の髪を 緩く巻いて
長い 睫毛を ばっちり上げて
きれいな肌…

とても… 50歳に 見えない…!!!!!
驚愕…!!!

玄関先で 時が 止まった。

「少し 話せたらと 思って…」

「はあ…」

間抜けな返事をしながら 家を振り返る。

立ち話…という訳にも いかないだろうが
家の中…というのも… 散乱…

「あらあら!」

玄関の散らかりを見て
梓さんが 口に 手を当てる。


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