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主治医との結婚生活

第7章 奏真の話

原田先生に促されて、
早々に居酒屋を後にする。

一刻も早く 明花ちゃんに想いを伝えて
自殺だけは 食い止めなければ…!

ところが…

明花ちゃんの連絡先を 知らない… 

と 青ざめる。

冷静さを失いそうになる中、思いついて、

致仕方なく 実家に連絡をして 明花ちゃんの住所を教えて貰った。

それから 非番のドクターに代勤をお願いして…

翌朝 明花ちゃんの家に向かう事にした。


夜は 寝れたモノじゃなかった。

まず 何から謝ればいい?
泣かせた事? 待たせた事? 押しかけた事?

それから… 今更 好きだなんて 
都合がいいよな?

許してくれるかな? 受け入れてくれるかな?


自分の気持ちを 相手に伝えることが
こんなに怖いと思うのは 初めてだ。


翌朝 明花ちゃんの家を訪ねた。

お母さんと2人暮らしの 美容院へ…

お仕事準備中のお母さんを意を決して捕まえて、
明花ちゃんを呼んで貰った。

「えっ…? 奏真先生?! 仕事は?!
こんな所で 何してるんですか !」

美容室の奥から出て来た明花ちゃんは
僕の登場に困惑していた。

「朝から 押しかけて ごめん…。 
話したくて…。」

明花ちゃんは小さくため息をついて 
「…散歩にでも 行きましょうか?」

そう言って 僕に 話す機会をくれた。


ところが… 僕は 何から話したらいいのか
ただただ明花ちゃんの後を追って歩くしか
出来なかった。

公園につくとベンチに座るように促された。

「話って 何です?」

明花ちゃんが僕の顔を覗き込む。

泣き腫らした 目が痛々しい…。

でも 明花ちゃんは お化粧をしていた。 
普段は薄いメイクだけど きれいな色の口紅と、
普段より はっきりとしている長いまつ毛。

髪の毛もおろして 緩く巻いて
可愛いワンピースを着ていた。

それがとてもよく似合っていて すごく可愛かった。

24歳の 大人の女性。

だから 余計に 緊張して…
言葉がなかなか出てこない。

「…先生には 私の気持ちは ご迷惑でしたか…」

なかなか話さない僕を見兼ねて 明花ちゃんが
話し出す。

僕は慌てた。

ちゃんと 自分から切り出さなきゃ
いけなかったのに…

だから 意を決して 伝える。

純粋な 大きな瞳に向かって…

「明花ちゃんが 好きです…」


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