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主治医との結婚生活

第7章 奏真の話

「小学生ならまだしも、もう23歳なんでしょ?
8歳離れている事も十分わかっているだろうし、
先生と居て幸せかどうかは彼女が決める事でしょ。 先生が決めつける事じゃない。」

ゔっ…  原田先生の言葉が 刺さる。

「さっきから 彼女のせいにしてるけど、 
先生に自信がないだけじゃん。
そんなに彼女を幸せにする自信がないの…?」

心に刺さった矢を 抜く間も無く 
上から鉄板を落とされた気分になった。

額に拳を当て 考える。

自信がない… のかも…

あの 純粋な 大きな瞳に 応える自信が 
無いのかも…

黙りこくった僕を見て、 原田先生は小さく溜息
をついた。

「若いドクターに言い寄られているのに、
彼女は先生を選んだ。 先生はどうする?
このまま そのドクターにめーかチャンをあげる?」

原田先生の言葉を 深呼吸して 受け止める。

「… 渡したく ない…」

渡したくないに 決まってる。

それは初めて 口にした 素直な言葉。
嘘偽りのない… 自分の 本当の気持ち。


原田先生はふふっと笑った。

「じゃあ 早く想いを 伝えないとね。
医者の卵時代のお目付役とはいえ、
先生は彼女の主治医だったんでしょ? 
患者さんのメンタルケアは重要よ? 
最期まで責任持たないと…!」


原田先生の言葉をきっかけに
どんどんと溢れてくる 明花ちゃんへの気持ち…


誰かに 渡したい訳 ない…

14年も前から 僕は 彼女を 好きなんだから…!

「彼女… 先生にフラれたと思って 投身自殺とか
してないと良いわね。」

原田先生の言葉に 青ざめた。



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