
Biastophilia💋
第1章 Biastophilia
けれど、彼の事を1度だけ怖いと思った瞬間がある。
「本当に怨恨か?」
正常位で絶頂を迎える間際、薄気味悪い笑みを浮かべた彼は私にそう問い掛けたの。
「何の事ですか?」ってすぐさま言い返したけど、私の声は震えていた。
「とぼけやがって。3年前のあの事件の事だよ。」
本心か?と続いた彼の言葉は私を揶揄うようなものだった。
「本心ですよ」って笑いながら言えばいいのに、
咄嗟に嘘が出てこなくて焦った。
多分珍しく動揺していたんだと思う。
嘲笑を浮かべながら、無言を貫く私を暫く眺めていた彼だったけど、私の膣内に性器を突っ込んだまま、私を抱えてバルコニーに移動した。
場所がラブホじゃなくて彼の別荘だったの。
2階建ての。
ひんやりとした夜風が気持ち良かったけど、その不安定なステンレス製の手摺に身体を押しけられてそのままセックスが再開された。
「このまま突き落としてやろうか?」と私の耳元で呟いた彼の声は全く温度が無かった。
彼の顔もいつの間にか薄ら笑いすら消え去って無表情と化していた。
頭から冷水を浴びせられたような気分になった私は、首を振って事の顛末を説明したの。
そして「どうか秘密にしてほしい。」と最後に懇願した。
隠していた真実が露呈するのが一番怖かったから。
