
Biastophilia💋
第1章 Biastophilia
私が全てを語り終えると、彼は満悦至極の表情を浮かべていた。
彼は私を再び抱えるとバルコニーから、大きなキングサイズのベッドが鎮座する室内へと戻った。
そのまま律動が再開されれば、芯まで冷え切っていた身体は徐々に温まっていき、鼻にかかった甘ったるい喘ぎ声も漏れ出ていた。
「お前は何も悪くねえよ。」
最奥を突きながら私の頭を優しく撫でた彼の台詞は、とても優しかった。
その後も何度も言ってくれたの。
お前は何も悪くないって。
何一つ間違った事はしていないって。
世間一般的に認められない理由だと
一応頭で理解はしていたから、非難されるとばかり思っていた。
だからとても嬉しかった筈なのに、
何故か心の内を恐怖が占めていた。
だから純粋に喜べなかった。
今考えてもよく分からないけど、
その時の、恍惚とした表情を浮かべていた彼の顔を
今でも私は忘れられない。
愛人の定義なんて私には良く分からなかったけど
性行為の最中、千手観音の刺青が施された彼の背中に爪を立てる時だけは
彼のお気に入りだと錯覚に陥っていた。
愛人であるが故に許された特権。
約8年間、私はその特権を享受した。
