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もうLOVEっ! ハニー!

第4章 暴露ゲーム開始

 美弥の部屋に入り、窓際のテーブルに向かい合って座る。
 綺麗な部屋だった。
 シンプルな家具で一貫され、その中央でペルシャ柄の絨毯が空気をまとめている。
 壁には数枚のポスターが並ぶが、どれも海外の美少女高校生モデルだった。
「ボク的にこのリアンちゃんはかんなに似てると思うんだにゃー。ほら。睫毛の角度とか、唇の感じとか、うー……あと鎖骨ぅ?」
 ポスターのリアンをなぞりながら呟く。
 見上げると余りに艶やかなブルーアイに畏敬の念すら感じた。
 私が似てる?
 ありえません。
 嬉しすぎますよ、こんな美人さん。
 曇った心が見られぬよう、無表情を張り付けて。
 記憶から意識を離す。

 ほとんど食べないまま朝食を片付け、キッチンで洗い物をする美弥が何気なく訊ねた。
「昨晩誰か来たの?」
 反応が出来なかった。
 ティーカップにスポンジを這わせながら美弥が眼を上げる。
 深い漆黒の瞳がピタリと私を捕らえた。
「誰が来たのかにゃ」
 恐ろしい人です。
 一瞬でバレてしまいました。
 拳を握り、腿に押しつける。
 テーブルクロスに目線を止めたまま、動かせない。
 これ以上は……
「誤解しないでね」
 汲み取ったように美弥が言う。
「ボクはかんなが言いたくないことまで吐かせたい訳じゃない。もし、言って楽になったり……相談したいことがあるなら聞きたいと思ってる。協力したいって」
 ザー。
 最後の皿を水洗いして籠に置くと、手をふきんで拭いながらこちらに来た。
「ボクはかんなが好きだから、さ」
 やっと顔が上げられた。
 家事のためにポニーテールにした亜麻色の髪が揺れる。
 ああ。
 こんなに真っ直ぐ見つめられたのはいつぶりでしょうか。
 こんな……
 優しい眼に……
「かっ、かんな? わわっ……泣かせるつもりじゃなかったんだよ! わーっ、えっと。ティッシュ、じゃなくてハンカチ。じゃなくて……ええと」

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