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もうLOVEっ! ハニー!

第4章 暴露ゲーム開始


 かぁあっと熱くなる。
 何回も言われるのに慣れていない。
 それからすぐに、私から表情が消えた。
 泣き顔……
 昨日のつばるの言葉が次々蘇った。
 泣いてる私を楽しそうに見下す眼も。
 涙を舐めた舌も。
 敏感に私の空気の変容を察した美弥が近寄ると、私の頬を摘まんだ。
「ていっ」
「ひゃっ」
 意外に強く摘ままれたので上手く声が出せないまま、美弥を見上げる。
 頬が痛い。
「誰だ、誰だ! かんなをこんな顔にさせる屑野郎は……今すぐ潰したい」
 声色がどんどん沈んでいく美弥に寒気を感じた。
 しかしすぐにいつものアヒル口の笑顔になると、手を離してにっと歯を見せた。
「そろそろ部屋に送るよ。じゃなきゃボク我慢の限界」
「えっ」
「好きな子とボクの部屋で二人きりだよ? それに泣き顔まで見ちゃったら……壊したくなっちゃう」
 明るく言う。
 私は立ち上がったものの、足を踏み出せなかった。
「……かんな?」
 美弥さんも?
 美弥さんもあんなことするんだろうか。
 早乙女つばるが言ってたように。
 早乙女つばるがやったように。
 私を無理矢理押さえつけて。
 笑って。
 嫌がる私を嘲笑って。
 抵抗しても無駄な乱暴さで。
 弄って。
 髪を掴んで。
 快感で縛って。
「かんなっ」
 美弥が叫んだ。
 はっとする。
 頭がぼーっとしている。
 生々しい。
 そりゃそうですよね。
 昨晩のことですから。
 ガンッ。
 突然の衝撃にびくりとする。
 見ると、美弥が壁を思い切り蹴っていた。
 何度も何度も。
「あぁああっ! かんなを傷つけた豚野郎を殴りたいよ! むかつく……」
 細い足で。
 開いた瞳孔で。
 急いで止める。
「痛いですよ美緒さんっ。そんなことしたら」
「ボクよりかんながずっと痛いでしょ」
 足を止めて、美弥はただそう言った。

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