もうLOVEっ! ハニー!
第4章 暴露ゲーム開始
青空が広がる一面の窓を何の気なしに横目で見たときだった。
鼓膜にというより頭に降ってきた音色。
びくりと周りを見回す。
スピーカーらしきものはない。
なんでしたっけ。
この流れるようなヴァイオリンのメロディ。
耳に手を添えて集中してみる。
軽やかに跳ねる音符が見えるようだ。
確か何度か聴いた……
どこでかは思い出せない。
けど、鼻歌でついていけそうなほど馴染みぶかい旋律。
「そっか……今日は姫が来てんのか」
「姫?」
もう少しで浮かびかけた曲の題名が千切れ雲みたいに宙に霧散してしまった。
悔しさを覚えながら歩く。
「そう、姫。たぶんね、かんなも一目見たら姫以外に呼び方を思い付けないと思う。美弥しかまだ会ってないだろ三年は。三年の女子は三人。一人宝塚と姫とクローバー」
「なんだか童話のタイトルみたいですね」
「ははははっ。言えてる。とりあえず本名も教えとくと、姫が八坂蘭。クローバーは長谷茜だよ。すぐわかる特徴も言っておこうか。姫はフランス人形を抱えてて、クローバーは四つ葉のクローバーのイヤリングを両耳に付けている。そんなの在校生八百人の中でも他にいない」
なるほど。
人形さんが姫さん。
四つ葉がクローバーさん。
八坂蘭さんに長谷茜さん。
早く名前を覚えなきゃと反芻する。
それを察した陸が安心してと言った。
「美弥先輩に並ぶ強烈な姉様方だから一回で覚えるってか忘れらんないよ」
「ヴァイオリンは蘭さんが弾いてるんですか」
「そうそう。今向かってたのがその部室でね。ピアノ室が奈己の聖域ならあそこは姫の城だ」
そういえばなんで聖域なんでしょう。
そのうち聞けるでしょうか。
音色が扉の向こうから流れてくる。
未だ題名にたどり着けぬまま私は陸さんに続いてその部屋に足を踏み入れた。
鼓膜にというより頭に降ってきた音色。
びくりと周りを見回す。
スピーカーらしきものはない。
なんでしたっけ。
この流れるようなヴァイオリンのメロディ。
耳に手を添えて集中してみる。
軽やかに跳ねる音符が見えるようだ。
確か何度か聴いた……
どこでかは思い出せない。
けど、鼻歌でついていけそうなほど馴染みぶかい旋律。
「そっか……今日は姫が来てんのか」
「姫?」
もう少しで浮かびかけた曲の題名が千切れ雲みたいに宙に霧散してしまった。
悔しさを覚えながら歩く。
「そう、姫。たぶんね、かんなも一目見たら姫以外に呼び方を思い付けないと思う。美弥しかまだ会ってないだろ三年は。三年の女子は三人。一人宝塚と姫とクローバー」
「なんだか童話のタイトルみたいですね」
「ははははっ。言えてる。とりあえず本名も教えとくと、姫が八坂蘭。クローバーは長谷茜だよ。すぐわかる特徴も言っておこうか。姫はフランス人形を抱えてて、クローバーは四つ葉のクローバーのイヤリングを両耳に付けている。そんなの在校生八百人の中でも他にいない」
なるほど。
人形さんが姫さん。
四つ葉がクローバーさん。
八坂蘭さんに長谷茜さん。
早く名前を覚えなきゃと反芻する。
それを察した陸が安心してと言った。
「美弥先輩に並ぶ強烈な姉様方だから一回で覚えるってか忘れらんないよ」
「ヴァイオリンは蘭さんが弾いてるんですか」
「そうそう。今向かってたのがその部室でね。ピアノ室が奈己の聖域ならあそこは姫の城だ」
そういえばなんで聖域なんでしょう。
そのうち聞けるでしょうか。
音色が扉の向こうから流れてくる。
未だ題名にたどり着けぬまま私は陸さんに続いてその部屋に足を踏み入れた。