
ふざけた奴等
第2章 慣れと飽きの境
「ペガサスってさ、馬鹿の最大級なのかな。ひっ」
内腿に冷たい手が滑り込む。
金は上着を脱いで床に広げると、そこに僕を転がした。
背中に痕が残らぬよう。
「ええ。そうでございます。さながらユニコーンは馬鹿の比較級でしょうか」
唇を摘ままれ、永久歯の揃った歯を指でなぞられる。
こういうときまで健康チェックされてるみたいでむずむずする。
だから、わざと舌で弄ぶ。
唾液を垂らしながら。
甘い香りのする指を。
ぼうっと、視界が霞む。
舐めてるだけで逝きそうだ。
「じゃ、阿呆はさ」
「阿呆は坊っちゃまでございます」
ぐり、と先端を擦られ意識が持っていかれた。
「毎回前戯で気絶するのどうにか治せないかなあ」
てきぱきと服を着る金を見て呟く。
「敏感な坊っちゃまだからこそこの老体でも満足させられるのです。治されては困ります」
ぱさりとシーツを被せられる。
洗い立てっぽい。
部屋の外に用意してあったんだろう。
こうなるのを予想済みで。
「だって、爺が挿れる感覚もわかんないんだよ。それって損してるじゃん」
「前々から申し上げておりますが、私は既に不能なので挿入はしておりません。それこそ坊っちゃまの腸膜を傷つけるなど出来ませんからね」
わかってるけど。
「じゃあさ、扱き合いだけでも」
「不能、と申し上げておりますが」
「なんで爺不能なんだよー」
「歳ですね」
「僕じゃ興奮しないの」
「それはございません。あと二十若ければ坊っちゃまのナマ足だけで抜けたはずです」
さっと脚を隠す。
急に恥ずかしくなったのだ。
金の目線が。
「じ、爺は男と最後までヤったことあんの」
「無数かと」
カチャカチャ食器を片付けていく。
