テキストサイズ

母子家庭

第5章 家にいる異性…。

優が、食べている姿をチラッと横目で見てみる。すると何故か、今までと違った大人びた感じに見える。制服を着て、昨日までと全く変わらない中学生の息子のはずなのに。

そう言えば、今まであまり感じなかったが、別れた旦那によく似ているように見える。

別れた旦那はイケメンだった。だから、女性にはモテたし、結婚した時は、友達や周りの人にも優越感を感じたものだ。まー、結局はそのせいで、他に女を作って別れることになったのだが…。

そう考えていると、自分でも気付かないうちに、優を凝視してしまっていた。それに気付いた優は、

「何?」

と、昨晩の事など全くなかったかのように、不自然さのない態度で普通に聞いた。

私は、逆にオドオドして、

「え?別に!朝食はどう?美味しい?」

などと、普段聞かないようなことを言ってしまっていた。

優は、

「普通!」

と答えた。いつもと変わらない態度だ。この年頃の男の子は必要最小限の言葉で答えるのかもしれない。

優は食べ終わると、立ち上がり食器をまとめて、シンクに持ってきた。優の全身が見えると、一瞬、優の股間に目が行ってしまうのが分かった。膨らみが少し分かるくらいの大きさだ。

息子の股間の大きさを品定めしている自分が恥ずかしくて、優から顔を背けた。そして、

「行ってらっしゃい!気を付けてね!」

と言った。優は、

「うん、行ってきます。」

と言って、テーブルの横の椅子の上に置いておいた鞄を持つと、玄関へ向かって歩いて行った。

私は、

「ふ〜!私、どうしたのかしら…。自分の息子に、変な緊張するなんて…。しばらくしてないからかな…。」

独り言が自然に出てしまった。

それにしても、あの子、私が気付いていないと本気で思っているのかしら…。でも、あの態度、そう思っているとしか思えない。だとすると、かなりの天然かも…。

そう考えると、勝手に笑顔がこぼれた。

「まー、良いか!」

そう口に出して言うと、大した問題ではないように感じるのだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ